2006年に読んだ本ベスト10

年末だし,こんな企画をたててみました。
今年出た本じゃなく今年読んだ本ですので,お間違いなく。


1.米澤穂信さよなら妖精

さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)

さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)

捻くれてしまった僕ですが,ストレートに感動の一冊です。
ユーゴスラビアという国は,なぜだか昔からとても好きでした。
地理の授業で習った「7つの国と国境を接し,6つの共和国で構成され,5つの民族が住み,4つの言語が話され,3つの宗教が信仰され,2つの文字が使われ,過去にいろいろあったけど今は1つにまとまっている国(あくまで当時)」というフレーズが,印象的だったからかな。*1
そんな僕の前に,こんなシチュエーションのミステリを持ってくるなんて!


2.池上永一バガージマヌパナス

バガージマヌパナス わが島のはなし (文春文庫)

バガージマヌパナス わが島のはなし (文春文庫)

最初はあまり期待してなかったんですけどね。
あらすじを読んだ時点では,もっと美しい話かと思ってました。
こんなに笑える話だったとは。
僕にとって池上永一という作家と出会ったことが,この一年で一番の収穫。


3.佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』

子供たち怒る怒る怒る

子供たち怒る怒る怒る

最後の最後,大晦日になってやっと読了。すべり込み!
どぎつい大変なことになってますな。
純文学系の雑誌に書いても,佐藤友哉佐藤友哉
「現実を駆逐した先にしか、僕らの世界は来ないのだから。」
いいコピーを書ける編集者に恵まれてますよね。*2


詳しい感想はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/darhino/20070102/p2


4.若竹七海『猫島ハウスの騒動』

猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)

猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)

コージーミステリの傑作。
最近新作がないなあと思っていたので,一安心。
たくさん猫が登場します。
みんな個性的で楽しいよ。
今年一年,某作家さんの子猫殺し騒動があったりで,いろいろと思うこともありましたが……まあいいや。


5.浦賀和宏『八木剛士 史上最大の事件』

八木剛士史上最大の事件 (講談社ノベルス)

八木剛士史上最大の事件 (講談社ノベルス)

『上手なミステリの書き方教えます』と合わせての順位かな。
オチが脱力系。もしくは一発ネタ??
“史上最大”ってことは,今後アレを越える事件は起きないってこと!?
まさかねえ。


6.池上永一風車祭

風車祭 (文春文庫)

風車祭 (文春文庫)

本当のところを言うと,確かにそれほど文章がうまい人ではないと思うんですけど。
この文体ははまればはまるのです。
なんか僕の中で八重山のイメージは物凄いことになっているんですが。


7.瀬名秀明『八月の博物館』

八月の博物館 (角川文庫)

八月の博物館 (角川文庫)

単なる理系作家?だと思ってました。
“読まず嫌い”はいかんなあ。
なかなかの感動作。


8.鹿島田真希『白バラ四姉妹殺人事件』

白バラ四姉妹殺人事件

白バラ四姉妹殺人事件

今年読んだ純文学系(佐藤友哉は除く)では一番気に入りました。
表紙の絵がマグリットだからというだけではないです。
けっこう不思議系(難解系とは言わないように)。


9.平山瑞穂『ラス・マンチャス通信』

ラス・マンチャス通信

ラス・マンチャス通信

不安定な気分になる小説。
きっとハッピーエンドなんだろうなあ,と思いつつ,よくわからない。
こういう幻想が入ったような小説が僕は好きなんですね。たぶん。


詳しい感想はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/darhino/20061229/p2


10.池上永一『レキオス』

レキオス (角川文庫)

レキオス (角川文庫)

沖縄を舞台にした伝奇SF。
博士すごすぎ。
中盤までものすごく面白かったんですけどね。
最後がちょっと尻つぼみかなあ。


ついでに11〜15位(面倒なんで順不同で)。
古川日出男アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)〜〈3〉』
神林長平『小指の先の天使』
京極夏彦邪魅の雫
加納朋子コッペリア (講談社文庫)
米澤穂信夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)


ちなみにトータルでは93冊(専門書とマンガを除く)を読みました。

*1:スイスと並んで,うまくいってる多民族国家の代表という紹介のされ方だったんですよね。そんなわけで,その崩壊・分裂は僕には大きなショックでした。

*2:水没ピアノ』の「これから壊れてしまうすべての人のための」もよかった。