『少年検閲官』『海神の晩餐』

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

海神の晩餐 (光文社文庫)

海神の晩餐 (光文社文庫)

北山猛邦『少年検閲官』

雰囲気は悪くないですね。
すべての書物が駆逐され失われた異世界の日本(最初どこだかわからなかったけどね)。
「検閲官」っていうのは,ミステリ(書物)が遺されていない検閲する官なんですね。


少年ばっか(メインの3人)出てくるのは何か狙いでも?
『ギロチン城』殺人事件 (講談社ノベルス)で記号みたいな*1女の子をたくさん登場させた反動かな。


ミステリを知らない世界でおこるミステリ的事件の意味とは?
というのがポイントになるのかと思いましたが,ちょっと違った。


オチは叙述ミステリじゃなくて,何ミステリというのか,
「えー,それって?」的な...。
バカミス??
本はなくてもアレは存在してそうな気もするけれど,まあいいや。
よし! だんだん“あり”だと思えてきたぞ。


個人的には,ラストでいまひとつ感動しきれなかったか。
シリーズ化したらいいのかもしれません。単発ではもったいないです。
っていうか,やっぱ続くのかな。

若竹七海『海神の晩餐』

若竹さんの小説は安心して読めるというか,一定以上のクオリティを期待できるのがうれしいかな。
特に航海もの(船上ミステリ)はよいですね。

複数の登場人物の,人間模様みたいなのが,いつもよくできてる。
たっぷりのユーモアとほろ苦さ。

『名探偵は密航中』もよかったけど,甲乙つけがたし。


ラストもうまいよな。
余韻の残し方。
何となく山田風太郎『明治波涛歌』を思い出す。
もしくは『エドの舞踏会』。


あれ?結局この二人結婚したんだ,的な部分もありますが。


読み終わった後で気が付く。
実はこれ単行本も持ってた!(まだ読んでなかったけど...)

*1:名前からして"一","二","三",...に極めつけは" "(名なし?)。いやー,個人的には傑作だと思うよ。「城」シリーズの新作,楽しみに待ってます。