4月・5月に読んだ本-米澤穂信ほか

5月

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

あいかわらず文章の癖は強いけど,それが気にならなくなる雰囲気がありますね。
登場人物が個性的(というか変)かつ魅力的(というか変)。
パンツ総番長ってなに!?
とにかく楽しかった。
でも,次にこれを越えるのはとても難しそうな気もするのだけど(と余計な心配をしてみたり)。

作品によっては合わないのもあるけど,これは○。
“濃厚な雰囲気”みたいなものがいつまでも後に残る。
そんな感じ。

これでまた一つメフィスト賞受賞作を読破。
って,読む以上にどんどん新しく出てくるんですけど(笑)。
もっとマニアックかと思ったが,トリックは意外にシンプルでした。
主人公の揺れ動く気持ちもとても興味深かった。

泡坂ファンと自称しつつも,肝心なこれは抜けてました。
納得の一冊。
ネタ自体は知ってたのですが,それでも十分に楽しめました。
不自然でない程度の意外性というバランスのよさ。

4月

クドリャフカの順番―「十文字」事件

クドリャフカの順番―「十文字」事件

今までは主に主人公である奉太郎の視点から語られていたのに対し,本作は4人の視点が交互に。
これが想像以上に面白かった。
それぞれの個性がよく生かされてると思う。
いつもながら,ちょっとシリアスな内容もありつつ,楽しんで読めた。
調理コンテストの話とか。
わらしべ長者メソッドとか,あそこに繋がるか。
まんがの同好会の話の落とし所は僕の予想とはちょっと違ってました。
もう少しハッピーな解決に到るのかと予想してたけれど。
こういうちょっとしたほろ苦さもこの作者らしいか。

わりとダーク系。
微妙な後味の悪さがいつまでも残るラスト。
西澤保彦の『聯愁殺』とかを思い出す。
けっこう似てるかも(西澤さんももう少し世代が若ければ...)。
でも,何となく優しさみたいなのも感じるのは,気のせいか?
シリーズとして続編もありそうなので,そちらも期待。

すごーくどたばたしたSF短編集。
最初は文章の癖というかノリみたいなのが読みにくく感じたけれど,結局はかなり笑えました。
最後の「スクーリング・インフェルノ」が特に好き。
シュールすぎ。悪夢としては笑えすぎ。
こういうSFも好きなんだと,改めて自覚しました。