9月の読書
まず1冊
9月に読んだ本の中で,一番印象に残ったのはこれでしょう。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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帯の古川日出男による推薦文とか読んで,すごい悲しそうな話かと思いきや,
けっこう笑えた。
『砂糖菓子...』とか『少女には...』と同じ路線だったらどうしよう(?)とか思ってたけど,お見それしましたと言う感じ(もちろん前2者がダメっていうわけでは全然なくて)。
これ,ユーモア小説でしょう。
せつない系であることも確かだろうけど。でも...
特に老犬が語り手として出てくる話とか,ほのぼのとしてよい感じ。
悲しそうな大人たちの存在も含めて。
こういうのも読めるなら,出るたびどんどん読みますよ。
ということで,『青年のための読書クラブ』も買ってみました。
楽しみだ。
その他
- 都築道夫『新顎十郎捕物帖』
だいぶ前に読んだけど,講談社ノベルスとして復刊したので,記念読み。
あいかわらず面白かった。
ライバルの藤波さんとの対決とかが目立つので,久生十蘭の元シリーズを先に読んでおいたほうが話に入りやすいかも。
久しぶりに久生十蘭のほう(もちろんお勧め)も読みたくなりました。
こちらは絶版にはなってないのかな?
- 乙一『失はれる物語』
ノンシリーズ物の短編集で,どちらかというと“せつない”系。
SFっぽいのとか,ミステリっぽいのとか,いろいろあり。
地味目ではあるけれど,心に残る。
それにしても,表題作とか,どうやったらこういう話を思いつくのでしょうか?
心理学的な話の部分がちょっと長すぎるかも とは思うが,主人公の内面に踏み込むのには,必要な作業なんでしょうね。
ただ,あまりそれが中心になりすぎるときついかな(でも次も読む)。
犯人があんな簡単に参ってしまうのにも,少し違和感。
- 北野勇作『ウニバーサル・スタジオ』
とんでもない系?(笑) 一般的には“奇想天外”って言うのか。
皮肉というか何というか,よくこんなこと考えるよな。
脱力する暇もないですよ。
テーマパークが好きな人だったら必読!(嘘)
- 池上永一『やどかりとペットボトル』
初のエッセイ集。
ファンタジーノベル大賞受賞後,最初のエッセイ(「愛人ラーメン」)からして...。
やっぱ小さい時から個性的な人ですねえ。
池上さんのお母さんとかもとても強烈な人っぽい。
そういうところから,ああいう個性が生まれてきたのか。
それとも石垣島ってみんなそう?(なわけないか)
それはそうと,ヤドカリは出てこないのね。
- 柳広司『黄金の灰』
けっきょく何だったんだ?というのが今一よくわからない。
そういう点には不満もあるけど,物珍しさで読み進められました。
シュリーマンって,名前は聞くけれどそれほどメジャーな人でもないからな。
次はダーウィンにしてみよ。
ノベルスも持ってるけど(しかもカバー違いで2冊*1),文庫化されたので購入。
だいぶ細かいところに改稿されているけど,どちらかというと前のほうが...
特に羽美ちゃんと稜子さん(と他何人か)があそこで出会う場面とか。
帯によると「美少女学園ミステリーの最果て作」とのことだけど,つい「美少女学園ミステリーのなれの果て」と読んでしまった。
自分でも何だかよくわかってないけど,たぶんそっちのほうが合っている(そんな気がする)。
- 鯨統一郎『なみだ学習塾をよろしく!』
この著者の作品としては例外的に,このシリーズは好きなんです。
初期のトンデモ感(どうみてもこじつけだろ!みたいな)はなくなって来たけれど。
どちらかというと人情話が中心になってきましたね。
少し斜めな視点からドタバタやっているのが,妙に合う。
- 柄刀一『殺意は青列車が乗せて』
連作短編集? それとも長編なんですか?*2
このシリーズって,この作者としてはどことなく軽い印象なんだけど,トリックとかはしっかりしてますね。
表題作は,西村京太郎『ミステリー列車が消えた』とかと読み比べてみても面白いかも。
- 北村薫『街の灯』
相変わらず,この人の書く話は“よい話”が多いですね。
でも,それほど臭くもなく。
ほどほどで良いバランスかとも思いました。
主人公たちが妙に大人っぽいのは,時代設定なのかな。