07年に読んだ本ベスト10

たいして意味があるとは思わないけれど,何となく今年も選んでみました。
今年出た本じゃなく今年読んだ本です。


1.桜庭一樹 『少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人

帯の推薦文とか読んで,すごい悲しそうな話かと思いきや,けっこう笑えました。
読む前のイメージと読んだ後のイメージのギャップが大きかった本。
基本,そこはかとなく切ない系で,泣ける話ではあるのですが,ほどよいユーモアとのバランスがよかったと思います。
特に老犬が語り手として出てくる話とか,ほのぼのとしてよい感じ。
幻想的でもあるし,純文学っぽい感じの小説としては,かなり好みです。
他に桜庭一樹の本では,『青年のための読書クラブ』も面白かったです。


2.池上永一 『あたしのマブイ見ませんでしたか』

あたしのマブイ見ませんでしたか (角川文庫)

あたしのマブイ見ませんでしたか (角川文庫)

涙あり笑いありの短編集。
とにかく「サトウキビの森」の雰囲気にしびれました。
脇役で登場する動きの遅いオバァもいい味出してるし,天候の使い方がうまいなど,細かいところにも感心。
「マブイの行方」「失踪する夜」のわけのわからなさも,沖縄っぽくてよいですね。
沖縄が舞台でない作品も初めて読みましたが,これもよし。


3.古川日出男 『13』

13 (角川文庫)

13 (角川文庫)

今さらながらではありますが,古川日出男のデビュー作を読みました。
すげえ。
第二部がけっこう好きです。


4.米澤穂信 『クドリャフカの順番
主人公の視点から語られていた前二作に対し,本作は4人の視点が交互に語られます。
それぞれの個性がよく生かされており,これが予想以上に面白かったです。
いつもながら,ちょっとシリアスな内容もありつつ,楽しんで読めたのは本作が一番でした。
わらしべ長者メソッドとか,あそこに繋がるのか... とか。
まんがの同好会の話の落としどころなど,ちょっとしたほろ苦さもこの作者らしいです。


5.米澤穂信 『遠まわりする雛
古典部”シリーズの最新短編集です。
主人公である奉太郎の変化が面白かったですね。
今後の展開が楽しみなラストも印象的。


6.米澤穂信 『インシテミル
6位も米澤穂信になっちゃいました。
こういうダークな話も書けるんですね。
何か歪(いびつ)なという印象も受けましたが,それも含めて楽しめました。
というか,後に残る印象はあまり暗くはないんですね(個人的には)。


7.森見登美彦 『夜は短し歩けよ乙女
売れてるようですね。
それだけの面白さはあります。


8.堀江敏幸 『雪沼とその周辺』
今年の純文学枠?
こういった短編集が好きです。


9.恩田陸 『麦の海に沈む果実』
正統派っぽいサスペンスといったところですかね。
『黄昏の百合の骨』のほうを先に読んでいたので,ラストはなるほどそうだったのかと思いました(蛇足)。


10.佐藤友哉 『灰色のダイエットコカコーラ』
どれもこれも,いろいろな意味で酷い話ではあるんだけど,それがあった上で今の佐藤友哉があると考えると,感慨深いというか何というか。
個人的に「虹色の...」はファウストに載ってた短縮版のままのほうがよかったかな。


次点
津原泰水 『ルピナス探偵団の憂鬱』
北山猛邦 『少年検閲官』


年末恒例のミステリ・ガイドを参考に,ミステリー系のライトノベルもいくつか読んでみました(っていうか,“古典部”シリーズもそうか)。
野村美月“文学少女”シリーズとか,けっこう面白そう。


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