08年に読んだ本ベスト10

いちおう今回も選んでみました(どうせある種の自分語りみたいなもんですが)。
2008年に‘出た’本じゃなく2008年に‘読んだ’本です。


1.池上永一 『シャングリ・ラ

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

やっと文庫化したので,読みました。
温暖化がどうのこうのというのはとりあえず置いておいて,作品のパワーにやられました。
『レキオス』以上にとんでもない登場人物とストーリー展開。
ものすごく個性的な人達のごった煮というイメージは,沖縄ものにも通じます。
悲惨な目にばかりあう人も出るのに,それを含めて,救いが感じられるのはどうしてだろう。
それはそうとコミック化・アニメ化が進んでいるようですが,どちらも微妙にイメージが合わず。
まあ,それでも見てみたい気はする。


2.舞城王太郎 『ディスコ探偵水曜日

ディスコ探偵水曜日〈上〉

ディスコ探偵水曜日〈上〉

ディスコ探偵水曜日〈下〉

ディスコ探偵水曜日〈下〉

『新潮』に連載してたのは知ってましたが,なかなか本にならずにどうしたかと思ってました。
書き下ろしの章が加わって2冊になったようです。
ちょっと見,変な図とか出てきて気になっていたのですが,こんな話だったとは!
しかし,この本の面白さ(魅力)を人に伝えるのって,とても難しそうですね。
あらすじを説明したところでアレだし...
名探偵(のうちの一人)の名前が猫猫にゃんにゃんにゃん とかだし...
とりあえず読んでみてね。ちょっとトンデモだけど(とかいうレベルでもないか)。


3.古川日出男 『二〇〇二年のスロウ・ボート』

二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))

二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))

村上春樹「中国行きのスロウボート」のリミックスらしいです。
基本的には,恋愛小説になるのかなあ。違うかも。
あらすじからして軽めかなとあまり期待せずに読んでみたら,これも凄かったってとこですかね。
でも何となくコメントしにくいなあ。
「中国行き...」も事前に読んだのだけど,どこら辺がリミックスなのか,注意して読んでなかったし。
まあそれはそれとして,主人公が小学生の時の話が,特に好き。


4.池上永一 『夏化粧』

夏化粧 (文春文庫)

夏化粧 (文春文庫)

悲惨な目にあう人が多く出ると言えば,『シャングリ・ラ』だけじゃなく,この本もそうですね。
なにしろ他人の幸福(才能?)を奪って,自分の子の命を助けるお母さんの話。
だけど読み終わって感動させてしまうのは,どうして?本当にどうして?
泣けてちょっとほっとして(まあ,人によっては感じ方が違うのだろうけれど)。
でも,凄いよ。


5.古川日出男 『ベルカ、吠えないのか?』

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

文庫化するのを楽しみに待っていました(単行本買ってもよかったんだけど)。
とりあえず軍用犬の話です。たくさん犬が出てきてどんどん死んでいくよね。
後半登場する日本のやくざの娘がかっこいい。
とかいう感想でよいのかな?
かっこいいだけじゃない話だけれど,その余分が何だかよくわからない。
まあ,凄いよ。


6.恩田陸 『黒と茶の幻想
大人な感じ。
こういうのも広い意味でのミステリーになるのかな。
スリリングな展開とかないんだけれど,最後まで読ませます。


7.小林めぐみ 『食卓にビールを6』
ライトノベルSF枠?
ちゃんとSFしてます。テーマはけっこう本格的?
表紙にカバー書けないで読むと,ちょっと恥ずかしい。
でも僕は電車の中で読めました。
またどこかで連載してほしいですね。


8.友桐夏 『楽園ヴァイオリン』
ライトノベルミステリ枠?
恩田陸の影響”という評をどこかで読んだけど,わかる気もします。
地味だけど,よいと思うんだけど,人気的にはどうなんでしょう?
1作目の『盤上の四重奏』も面白かった。
新作出ないかな。


9.道尾秀介 『向日葵の咲かない夏』
若手ミステリ作家枠?
道尾さんはどんどん話題作が出てるようなので,これから読むのが楽しみです。


10.町田康 『権現の踊り』
川端賞受賞作を含む短編集。
町田さんは初めて読みました。へんてこで面白かった。
表題作と「ふくみ笑い」が特に好き。
この手の変な話って,わりとあるような気もするけれど,それはそれ。
次は長編も読んでみます。


その他のよかった:
津原泰水 『ルピナス探偵団の憂愁』
古野まほろ『天帝のはしたなき果実』
佐藤亜紀 『雲雀』
古川日出男ボディ・アンド・ソウル
西尾維新 『不気味で素朴な囲われた世界
北山猛邦 『踊るジョーカー』


2007年に読んだ本ベスト10
2006年に読んだ本ベスト10