佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』
- 作者: 佐藤友哉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/05/28
- メディア: 単行本
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過去の呪縛から逃れるため転校した神戸の小学校では、奇妙な遊びが流行っていた。「牛男」と呼ばれる猟奇連続殺人鬼の、次の犯行を予想しようというのだ。単なるお遊びだったはずのゲームは見る間にエスカレートし、子供たちも否応なく当事者となっていく―。テーマも、ジャンルも超越した、現代文学の最前線。
表題作を除く他の短編は全て読んであったのですが,最後の最後,大晦日になってやっと読了。
積ん読状態で取っておいた甲斐はあったかな。
純文学系の雑誌に書いても,佐藤友哉は佐藤友哉,ユヤタンはユヤタン。
ということで一安心とういか,あんまり区別ないですねぇ。
で,表題作なんだけど,横山さんはなんでああいう目にあったの?
それだけがちょっと納得いかない。
それから近親相姦ネタはあってもなくても,な気がするんですけど。
まあいいか。
それほど大きな問題でもなさそうだし(佐藤友哉にとってもそうなはずだと思うのだが)。
なんだかんだで,野坂昭如の『骨餓身峠死人葛』とかを連想。
ちょっとここらあたり,佐藤友哉って意外な面で古風なのかもって気もする。
短編では「欲望」がなんかすごいなあ。
カミュの『追放と王国』みたいな不条理の文学?
犠牲者の慌てふためきかたとか,さらりと酷い目にあったりの表現が佐藤友哉らしい。
「死体と」は,どっかで似たようなパターンの話を読んだぞと思ったら,山田風太郎の「首」*1。
肌触りというか表面上の印象はだいぶ違うけど。
「大洪水の小さな家」は変わった小説だなと思った。
すごいかどうかは別として。
書き下ろしの2作もそれぞれ悪くはない。
それぞれ別種な希望の形。