井浦秀夫『少年の国』復刊

そういえば,僕が呉智英の名前を初めて見た(覚えた)のは,井浦秀夫のマンガ『少年の国』の解説でした。*1


この『少年の国』は(新興)宗教を扱ったマンガの中でも重要なものの一つでしょう。
普通の少年達が新興宗教にはまっていき、最後には犯罪まで といったストーリー。
これがオウム事件の何年か前に連載されていたわけですから、すごいです。


僕は,学生時代に連載をタイムリーに読んでいたのですが、クライマックスでの衝撃は大きかったです。
普通の高校生で,教団に関わるようになってもずっと半信半疑だったはずの主人公は,どこで間違えたしまったのか。
誰だって同じようになる可能性があるんだと思うと,ちょっと怖いものがありました。


ずっと絶版になっていたのですが,昨年9月に文庫化されたようです。
お勧めですので,興味があったらぜひ読んでみて下さい。



ちなみに作者の井浦秀夫は僕の同郷(隣町の出身)のようで、新聞配達を主人公にしたマンガの最初のシーンが長野駅の見慣れた風景だったりして、ビックリしたことがあります。


絵柄がちょっと独特なので,気になる方もいらっしゃるかもしれませんが,大目に見てあげて下さい。

ちょっと理屈っぽい気もするのも、長野県出身者だからですので,ぜひ大目に...
 

*1:呉智英はマンガの評論家としても有名。主なそっち系の著作に『現代マンガの全体像』など。